死が二人を分かつまで
そこら辺の事は、証言をまとめたものに詳しく書いてあるのだろう。


医者には守秘義務というものがある筈だが、一体どのようにして聞き出したのか。


津田は大いに興味を引かれたが、しかし、そのノウハウを探るのはルール違反であろうし、今はそんな場合ではない。


小夜子は、やはり失踪前にすでに妊娠していたということである。


もちろん、だからといって、それでイコール彼が父親であるという事にはならないが。

その時期関わりのあった男性ならば、誰でも候補になり得るのだから。


「小夜子さんが新天地に茨城を選んだのは、学生時代の友人に茨城出身の女性がいて、卒業後、地元に帰って就職していたからです。それを伝手にアパートや職場を探したようですね」

「その友人にも会いに行ったの?」

「はい。彼女の証言では、その時小夜子さんには男性の影は全くなかったそうです」


「全く、か…。ずいぶんきっぱりと断言してるな」


「ええ。妊娠中も出産後も、彼女が心配で頻繁に会いに行っていたのだから、そんな男性がいたら絶対に気付かない訳がないと」
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