死が二人を分かつまで
「父親が誰かは聞かなかったのかな?」


「籍を入れる前に亡くなった、と言われたそうです。それで実家にも帰りづらいのだと。それ以上は追求できなかったようですね。そうこうするうちにその方自身の結婚が決まり、市外に嫁いでしまったので、段々小夜子さんとは疎遠になっていってしまったそうです」


「なるほど……」


「もちろん、その話を鵜呑みにした訳ではありませんが。相手の男性は子どもを産む事を了承していたのに新しい生活を始めようとした矢先、逃げ出してしまったという可能性もありますから。別の方向からも念入りに調べました」

「で、やはりそれらしき男性は浮上して来なかった?」


「ええ」

「この、丸山毅という人物が父親という事は考えられないのかな」


彼の調査に間違いがあるとは思えなかったが、津田はついつい口に出してしまった。


悪あがきをしてみたくなったのだ。


しかし、彼は静かに首を振った。


「いや、だって、仕事でペアを組んでいたんだろう?接している時間も長かっただろうし、そういう関係になったとしても不思議ではないんじゃないのかな」
< 198 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop