死が二人を分かつまで
衝撃の真実
心地よい疲労感に、進藤は今にも眠りに落ちそうだった。
しかし、それではあまりにももったいない。
ぼんやりと眺めていた天井から、隣に横たわるさとしに視線を移すと、彼は子どものように無邪気な寝顔で、規則正しく寝息を立てていた。
何かが劇的に変わるかと思われたが、いつもの部屋、いつもの自分だった。
それはそうだ。
進藤の人生はすでに、さとしと出会ったあの瞬間から、美しく変貌を遂げていたのだから。
さとしの顔をもっと間近に見たくて、体の向きを変えた。
頬にうっすらと涙の跡がある。
進藤はほんの一時でも、さとしを突き放そうとした自分が信じられなかった。
その後の行動も。
思春期の少年のように歯止めのきかなかった自分に思わず苦笑する。
右手を伸ばし、さとしの柔らかな頬の、涙の跡を指でなぞっていると、突然玄関から割れ鐘のような音が響いて来た。
チャイムと、ノックという控えめな表現では釣り合わない程の力でドアを叩かれているからであると理解するまでに、数秒の時間を要する。
「誰だこんな時間に……」