死が二人を分かつまで
その声で、遠退きかけた意識が急速に進藤の心へと戻って来た。

寝室の戸口に、さとしが立っている。


二人の声で目覚め、起き出して来たのだろう。

衣服は身につけているものの、シャツのボタンはかけられず胸がはだけていた。


「むすこって…。え?だって、母と進藤さんはそういう関係じゃ……」


ドアの端を掴む彼の両手は小刻みに震えていた。


進藤は思わず視線を逸らしてしまう。


そんな彼の態度に、一瞬にして母との関係を察したさとしは、今度は傍らの津田に視線を向けると、彼にしては珍しく興奮ぎみに詰め寄った。


「う、嘘だ。そんなの。ねぇ、津田さん、嘘ですよね?」


縋り付かれた津田は、苦しそうな表情で目を閉じた。


その様子を視界の隅に捉らえた進藤はそうか、と納得する。


津田の事を、とてつもなく図々しくて嫌味で、打算的な男だと思っていた。


しかし、それは大いなる誤解だったのだ。


芸能界で生き抜く為には、自分が発掘した、手塩にかけて育てた才能を守る為には、そのような鎧が必要だったのだろう。
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