死が二人を分かつまで
他人の人生を背負う覚悟を持った、熱い男であったのだ。


『こんなに弱くて甘ったれの俺なんかとは、比べものにならないほどの…』


進藤は自虐的にそう思った。


しかし、今、この場面でそんな事に気付いたとしても、何の救いにもなりはしなかった。


津田の返事は無かったが、それは事実を肯定したのと同じ事だ。

さとしはフラリとよろけるように津田から離れると、そのまま部屋の中へと姿を消した。


進藤も津田も動けない。


ほどなくして、きちんと服を整え、荷物を手にした彼が姿を現した。


能面のような、感情の消えた表情になっている。


「ぼく、帰ります……」


津田は無言で頷くと、さとしの肩を抱いて歩き出そうとした。


「さと……」


進藤は無意識のうちに立ち上がり、さとしに向かって手を伸ばしたが、彼がビクリと身を震わせたので、それ以上動けなくなってしまった。


やっと巡り逢えたと思っていた進藤の半身は、今、地球上で最も遠い場所へと離れて行ってしまった。


「今夜はとても無理だろうから、お互い落ち着いてから、きちんと話し合え」
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