死が二人を分かつまで
いつもと同じ日常が、そこにあるからだろう。


『そうだ。
これが、本来の俺の姿だ。
余計な事は考えずに、いつも通り、仕事に集中すれば良いんだ』


そこで進藤は自分の思考に引っ掛かりを感じた。


『余計な、こと?』


キーボードを叩く指が一瞬止まる。


『余計な事って何だ?何を考えるっていうんだ?何も気にする必要なんか無いじゃないかまた今日も俺は目の前の仕事をこなすだけだそうだそれ以外に何もやる事なんかないし考える必要もない』


進藤の心の中に、もやもやとした大きな影が存在している。


その中心に、決して触れてはいけない何かが透けて見えていた。


そこにある事が分かっているのに……。


目をこらせば、それが何であるかは容易に判断できるのに、進藤は必死に気付かない振りをした。


禁断の核がそこからこぼれ落ちないよう、幾重にも張り巡らせた感情の糸でガードしながら、進藤は目の前の仕事に、ただひたすら没頭した。
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