死が二人を分かつまで
……どうやってアパートまでたどり着いたのか、進藤は覚えていない。
気がついた時には、リビングのソファーに仰向けに横たわり、目を閉じていた。
夢と現実の狭間の中、進藤は小夜子の人生を反芻していた。
彼の前から姿を消した小夜子。
大切な事は何一つ告げてくれないまま。
……いや。
告げられたからといって、あの頃の進藤に、一体何ができただろう。
小夜子といるのはとても楽しかった。
いずれは結婚を、と浮かれて考えた事もある。
しかし、あのタイミングで目の前にその現実を突き付けられた時、果たして受け止められたかどうか、進藤には自信が無かった。
苦労して入った大学は当然辞める羽目になっただろう。
時代がそうだったという事もあるが、田舎で暮らす進藤の両親や姉は特に保守的な性格で、結婚前にそうなってしまった息子を、弟を、決して甘やかしたりはしなかった筈だ。
仕送りは当然停止で、人の親になるのだから、自分の力で稼いで生きて行けと、実家に戻る事も許してはくれなかっただろう。
たとえそうなっても、その対応は人として当然の事で、進藤が家族を恨む筋あいは無い。