死が二人を分かつまで
彼が彼女の息子だと知ったあの瞬間に……。


そこまで考えた時、突然、室内にチャイムの音が響いた。


ハッとして、勢い良く立ち上がり、玄関に急ぐ。


神経が研ぎ澄まされているせいか、進藤は自分でも驚くほどカンが鋭くなっていた。


ドアを開けると案の定、目の前にはさとしが立っていた。


「お話、させていただきたいと思って……」


頬がこけ、紙のように白い顔色だった。


しかし、それとは対照的に、目は赤く充血し、瞼が腫れている。


その痛々しい姿に、様々な思いが交差し、思わず伸ばした進藤の手を、さとしは怯えたように体を引いて避けた。


「外で、お話しても、良いですか?」


昨夜の悪夢のような記憶が生々しく残る、その空間には入りたくないのであろうか。


自分のすべてを否定されたような気がして進藤はショックを受けたが、その申し出を断ったら、もしかしたらこの先一生二人で話す機会は持てないかもしれない。


その危機感で、進藤はとっさに頷いていた。
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