死が二人を分かつまで
「そう……。俺とはもう、会わないって事だね」


「いえ……」


ぎゅっと拳を握りしめた後、意を決したように顔を上げると、さとしは続けた。


「僕は、これからも、進藤さんの傍にいたいです。近くで、僕をずっと、見守ってくれませんか?」


進藤は目を見開いた。

とても信じられなかった。


思わず振り返り津田を見たが、彼は違う方向に視線を向けていた。


「………残酷な事を、言うんだな」


進藤は改めてさとしに向き合う。


心の底から、何かがフツフツと沸き起こって来るのを感じた。


「そうだな。君と俺の思いには、温度差があったってことだ。良い歳して必死になっている俺を哀れに思って、同情してああなったんだろ?」


「そんな!」


言いながら、進藤は本当にその通りだったのかもしれないと思い始めた。


さとしからは、結局何の言葉ももらっていない。


進藤はもう自分を抑える事ができなかった。


『相手の都合も考えずに、我を忘れてすがりつけるほどの恋』


いつか津田が言ったセリフが脳裏をよぎる。


「そうじゃないか。だからそんなにあっさりと、何もなかった事にできるんだろ?」
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