死が二人を分かつまで
目の前でさとしが泣いている。


しかし何も言えないまま、進藤はフラリと歩き出した。


「おい」


津田の傍らを通り過ぎようとした時、彼が肩に手をかけてきたが、進藤はその手を邪険に振り払った。


「うるさい。俺にかまうな」


進藤はそのまま歩を進めた。


『もう俺は、さとしの傍にはいられない。運命の夜を思い出して、お互いに傷つくだけだ』


全然楽しくなど無いのに、ふいに可笑しさが込み上げて来て、皮肉な笑みを浮かべながら進藤は心の中で呟いた。


『満足だろう?津田。結局、お前の望んでいた通りになったんだから』


公園前の車道に出た。


覚束ない足取りで横断歩道に足を踏み入れたその時、進藤は右手の方から強い光と音を感じた。


『あれは……何だ?』


眉を顰めながらその方向に身体を向けると、凄まじい勢いで進藤の元へと近づいて来る。


それが自動車であると気付いた時には、すでに彼の目の前に迫っていた。


「進藤さん!」


その声の直後、背後から強い衝撃を受け、進藤の身体は跳ね飛ばされた。


次いで耳をつんざくようなブレーキの音。


歩道に横たわる進藤の目の前で、鉄の塊が、まるで生き物のように暴れ狂う。


言いようのない恐怖と圧力に耐えかねて、進藤の意識は、そこで強制的にシャットダウンされたのだった。
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