死が二人を分かつまで
守るべきもの
『頭が痛い…』
薬品の匂いと、定期的に響く電子音に包まれながら、進藤は目を覚ました。
「気付かれましたか?」
白衣を着た男性が、進藤を見下ろしている。
「ここは……?」
「あなたは交通事故に遭われて、こちらに搬送されて来ました。といっても、あなた自身は車に接触した訳ではなく、転倒し、頭を打って意識を失ったようです。これから詳しい検査を致しますので」
進藤は、靄がかかったようなぼんやりとした頭でその言葉を聞いていた。
首を微かに捻り周囲を見渡すと、様々な機器が置かれていて、その間を看護師らしきスタッフが数人、忙しそうに動き回っている。
「一緒に運ばれた小谷さんは現在治療中です」
「こ、たに……」
「小谷さとしさんです。付き添いの方からお二人のお名前をお聞きしました」
その言葉で、進藤の意識は一気に覚醒する。
「さとしっ…。さとしが、怪我をしたんですか!?」
「ええ。あなたは小谷さんに背後から押されたおかげで、車との接触を免れたようで……」
「さとし!!」