死が二人を分かつまで
「『大丈夫だよ、こわくないよ』って、お母さんのこと、励ましてもらうんだ」


「でも…。トトちゃんはさとしちゃんのお友達でしょ?」


後ろから付いて来た祖母は、さとしの背後に立ち、肩に手をかけながら問い掛けた。


「お母さんと一緒に天国に行っちゃったら、もう、会えなくなっちゃうよ?」


「ううん。良いの」


さとしは祖母を見上げ、フルフルと首を振る。


「お母さん、一人ぼっちじゃかわいそうだから」


「さとしちゃん……」


「僕は、おばあちゃんもおじいちゃんもおじさんもおばさんも一緒にいてくれるから、全然さびしくないもん」


さとしは再びクッションに視線を向けると、やさしく撫でながら囁いた。


「トトちゃん、お母さんのこと、ちゃんと神様の所まで、連れてってあげてね……」


『そこにはおとうさんもいるはずだから……』


その言葉はあえて心の中で呟いた。


誰に何を言われた訳ではなかったが、そうした方がいいと、さとしは本能的に悟っていた。


さとしのその言葉に、室内には、参列者のすすり泣く声が、静かに響き渡ったのだった。
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