死が二人を分かつまで
「私、こういう者です」


用意しておいた名刺を差し出す。


「タグチプロダクションの……つだまさやさん?」


「ええ。そこで所属タレントのマネジメントを担当しています。失礼だけど、君の名前は?」


「小谷さとしといいます」


「小谷君か。年齢は?」


「20歳です」


「そう。君の歌を聞かせてもらって、すごく感動しました」


事務所に情報が寄せられて云々は、別に今話す必要はないだろう。


「本当ですか?ありがとうございます」


「歌だけじゃなくて、色々と話も聞かせてもらいたいんだけどな。都合が良いのはいつ?」

「え~と……」


さとしは腕時計をチラリと見ると続けた。


「来週の火曜日なら、今くらいの時間に、またここで歌っていると思います。その時に来ていただければ……」


「火曜日ね。わかった。あ、ところで君、どこかの事務所に入ってたりしないよね?」

「はい。まだ勉強中ですから」


その返答に胸を撫で下ろす。


「じゃあ、今日のところはこれで。この後も仕事があるんだ」
< 23 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop