死が二人を分かつまで
忙しい中時間を調整してわざわざ会いに来たんだよ、という事をさりげなくアピールする。


「はい、お気をつけて」


爽やかなさとしの言葉に津田は片手を挙げて応えた。


そして無事約束を取り付けられた事に満足しながら、足早に駐車場へと向かう。


『スカウトが、いつもこんな風にスムーズに行けば苦労はしないんだけどな』


津田は心の中で呟いた。


スケジュールは相変わらず数珠つなぎだが、どうにかなるだろう。


他の事務所が動き出す前に彼を獲得しなければならない。


それに関しては周りの同僚も同意見である筈で、フォローを頼んでも嫌な顔はせずに協力してくれるだろう。


しかし、タレント事務所から声をかけられたというのに、ずいぶんあっさりとした対応だったな。


もっとあちらから食いついてきても良さそうなものだが。


まぁ、突然のことで、いまいち実感が湧かなかったのだろう。


車に乗り込むと、津田はそう結論づけ、次の仕事場に向かうべく、エンジンをスタートさせた。
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