死が二人を分かつまで
こんな言葉で済むような問題だとは思えなかったが、進藤にはそう言う以外に術はなかった。


「そんな…顔を上げて下さいな」


広は無言だったが、知子が進藤の肩に手を置き、優しく言葉をかける。


「暴走車が突進して来たんでしょ?あなたのせいではないですよ」


津田が事前に、さとしと進藤が友人関係にあること、三人で公園で語らい、解散しようとした時に事故に遭った事などを説明していた。


もちろん、そこに至るまでの経緯、会話の内容までは明らかにしていないが、それどころではなかったようで、深く追求される事はなかった。


「ですが……」

「それに、体を張って守ったという事は、それだけさとしちゃんがあなたを大切に思ってるって事ですもの」


おずおずと顔を上げた進藤に、知子は控え目な笑顔を向けた。


「これからも、仲良くしてあげて下さい」

「おい」


突然、広が会話に割り込んでくる。


「俺はそろそろ行かないと」


「あ、そうですね。後は私一人で大丈夫ですよ」


知子は言い訳をするように、進藤と津田に視線を配った。
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