死が二人を分かつまで
さとしとしっかり視線を合わせると、知子は言葉を紡いだ。


「あなたの父親が誰なのか、調べようとした事もあったの。小夜子さんはその人と籍を入れなかったみたいだし、詳しい話を聞く前に亡くなってしまったものね」


その言葉に、進藤の鼓動は跳ね上がった。


「でも、調査会社っていうのは本当に信頼できるかどうか不安だったし、中々行動に移れなくて…。それに、あの人に『そんな下らない事に金を使えるか』って、突っぱねられたの」


一旦言葉を切り、小さく深呼吸してから、知子は続けた。


「『向こうの遺族からは何も接触がないのだから、どうせそれくらいの希薄な関係だったんだろう。俺達がわざわざ動く必要は無い』って。でも、私思うのよ。もしかしたらあの人は怖かったんじゃないのかしら」


「え…」


「本当の父親の遺族が見つかったら、あなたを取り上げられてしまうかもしれないって」


知子はそこで少し困ったような、それでいて、何かを慈しむような、不思議な表情を浮かべた。
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