死が二人を分かつまで
「うん。この後また診察してもらう予定なんだけど、もしその時に医者に何か言われたら折り返し連絡します」


『分っかりました~。くれぐれも無理しないでね』


「ありがとう。じゃ、失礼します」


やり取りを終え、相手が受話器を置くのを確かめてから進藤も電話を切った。


『出勤した時が思いやられるな……』


思わず深いため息をつく。


できれば事故の事は伏せておきたかったのだが、かといって嘘の理由で欠勤するというのも躊躇われた。


万が一この後後遺症が出て、静養のため長期間休んだりする羽目になったりしたら当然会社に診断書を提出しなければならなくなるのだ。


後で嘘がバレて気まずい思いをするよりは、初めからありのままを報告しておいた方が精神的負担は少ないだろうと進藤は考えた。


色々詮索されて煩わしい思いはするだろうが、それも数日の辛抱の筈。

ひとまず進藤は被害者であるのだし、その点は後ろめたく感じる必要は無い。

聞かれた事に対して、ただ真実を機械的に淡々と答えているうちに、徐々に皆の興味は薄れていくだろう。
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