死が二人を分かつまで
死が二人を分かつまで
進藤はゆったりとした気分で眠りについた。
途中、何か夢を見たが、内容は良く覚えていない。
ただ、懐かしい、愛しい人が笑っていて、泣きたいくらい幸せな気分だった事は記憶の片隅に残っていた。
朝が来た。
出された朝食を食べ、会社に欠勤の連絡をするべく、ナースステーション前の公衆電話へと向かう。
『えっ!うそっ。交通事故!?』
電話に出た総務の女性は、進藤の報告に心底驚いた。
進藤と同期入社で、女性社員の中では古株であり、総務課所属のため立場上、社内の事は熟知していた。
廊下などで顔を合わせれば、一言二言雑談をするくらいの仲である。
「いや、って言っても、ただ単に転んでちょっと痣ができたくらいなんだけど」
『えぇ~…。でも、大変だったねぇ……』
相手の同情と好奇心の入り混じったような口調に進藤は苦笑しつつ続けた。
「そんな訳で、怪我自体は大したことないんだけど、一応大事を取って今日と明日休ませていただきます」
『え?2日間だけで大丈夫ですか?』