死が二人を分かつまで
次の業務をこなすため、看護師は慌ただしく病室を出て行った。


さとしは窓の外に視線を向ける。


病院敷地内の駐車場に向かって歩いて行く、知子と津田、進藤の姿が見えた。


迷いなく、力強く、歩を進める、進藤の後ろ姿が。


さとしの瞳がみるみる潤んできた。


「ごめんなさい、お母さん……」


瞬きによって、涙が頬を伝った。


「僕、ずっとずっと、あの人と一緒にいたいんだ…」


後から後から、とめどなく流れ落ちる。


すでにこの世にはいないと思っていた。

会うことは叶わないと思っていたあの人に、会うことができたのだから。

その奇跡を、さとしは手放したくはなかった。



一生秘密の恋心。



うまくやれるかどうか、自信はないけれど。


傍にいる事を許されるのならば、どんな苦しみにも耐えてみせる。


だって、あの夜に、あの人が、誓ってくれたから……。


決して、離れたりなんかしない。


これまでも、これからも、誰にも聞かせる事はない愛の言葉を、さとしは魂を込めて囁いた。


「死が二人を分かつまで………」
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