死が二人を分かつまで
「小谷さんも、怪我自体はそれほど重いものではないからすぐ退院できますよ」


「ほんとですか?」


「ええ。ただ、その後のリハビリが肝心なの。頑張って下さいね」


立ち上がり、改めてさとしに視線を合わせたところで彼女はクスっと笑った。


「あ、ごめんなさい。ここに運ばれて来た時の進藤さんのこと思い出しちゃって」


「え…?」


「すごい取り乱していらっしゃったのよ『息子を助けて下さい』って先生に縋り付いて」


さとしがそのまま何も言わずに自分を見つめているので、彼女は「あ」と慌てたように口元に右手をあてた。


「ごめんなさい。笑うなんて失礼よね」


「いえ…」


「事故に遭ったりなんかしたら誰だって慌てちゃうわよね。それに、それだけ進藤さんがあなたの事を可愛いがっているって事ですもんね。あなたも進藤さんの事、大好きでしょう?」


「はい」


さとしはゆっくりと目を閉じ、言葉を紡いだ。


「あの人は、僕にとって、もう一人の、お父さんですから……」


「そうか~。ご家族以外にそういう存在の方がいるって羨ましいわ。そのご縁に感謝しなくちゃね」
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