死が二人を分かつまで
繋がっていく点と線
一日の仕事を片っ端からやっつけて、津田はさとしがいるであろう広場へと急いだ。
待たせたら気の毒だ。
この前より少し遅い時間だったが、彼のライブはまだ続いていた。
めずらしく最近流行りの歌をうたっている。
ギターは相変わらず所々たどたどしく、ハラハラする場面もあったが、ギャラリーはそんなことは気にならないようだった。
むしろ、ひたむきに演奏する姿に心を奪われているようである。
さとしがふと、津田の方に視線を向けた。
手をあげて応えると、何かを思い出したように、わずかに顔をほころばせる。
ライブが終わった。
しかし、なかなか人垣がなくならない。
見ると、さとしは見物人に握手を求められていた。
我も我もと人が押し寄せ、やっとその波が引いたのは、それから十数分後のことだった。
「すごい人気だな」
「ありがとうございます」
津田が近付きつつ声をかけると、さとしは爽やかな笑顔で礼を述べた。
さて、それじゃどこで話をするか、と津田が考えている間に、さとしは腕時計をチラッと見て「じゃ、失礼します」とその場を立ち去ろうとする。
「は!?」
津田は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。