死が二人を分かつまで
「おいおい、マジかよ」


『どこまで奥深い天然ボケなんだよ!』

「えっと、とりあえずさぁ」

津田は何とか自分を励まし言葉を繋ぐ。


「ここじゃ何だから、どこか落ち着ける所で話させてもらって良いかな?あ、あそこがいいや」


遊歩道を抜けて少し行った先に喫茶店があった。


なかば強引にさとしを引っ張って歩き、店まで誘導すると、窓際の奥の席に陣取る。


案内してくれたウエートレスに「コーヒー二つ」と注文した。


飲み物なんかどうでも良かったが、何も頼まないわけにはいかない。


「一つ確認したいんだけど」


津田は対面に座ったさとしに向き合うと、改まった口調で切り出した。


「君はどういうつもりで路上ライブをしているの?あくまでもただの趣味?それとも、プロになることも視野に入れて?」


さとしは少し考えてから、言葉を選ぶように話し出す。


「あまり深くは考えていなかったです。ただ、歌えることが楽しくて……」


そこでおしぼりと水が運ばれてきたので話が一時中断した。


ウエートレスが去ってから、再び彼は口を開く。


「でも、もし、音楽を仕事にできるなら、すごく幸せだな~と思います」

「それはプロになっても良いってこと?」


「はい……」

「そう」


津田は姿勢を正した。
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