死が二人を分かつまで
不思議なものだ。


世代間で壁をつくり、お互いに理解しあえない生き物であると敬遠しながらも、実は鏡のなかの自分のように生き方を模写し、させている。


しかし、歴史は繰り返しても、細部のフォルムまでもが一致しているわけではない。


何が良いのか、何がおもしろいのか、というパフォーマーの前に人垣ができていて、正直首を傾げることが多い。


自分が若い時には流行のものを非難したり興味のなさそうな大人が信じられなかったが、いつの間にか自分もそちらサイドの人間になってしまったということか。


そう考え、苦笑しながら広場を抜けようとしたその時、聞こえてきた歌声に、進藤は思わず足を止めた。


鼓動が一気に跳ね上がる。


視線を泳がせると、比較的大きな人垣ができているところがあった。


声はそこから聞こえてくるらしい。


近づいていくと、若者はもちろん、自分と同世代、もしくはそれ以上と思われる人々がその歌声に聞き入っていた。


その輪の中心には、ギターを奏でながら歌っている10代後半くらいの男性の姿が。
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