死が二人を分かつまで
意外にも津田が助け舟を出した。


「でも、やはりこちらとしては最終的に、ご両親にきちんと挨拶させていただきたいと思う。ぜひとも話し合いの場を設けてもらいたいんだけどな。さとし君の家はどこなの?」


「……僕はこちらで一人暮らしなので、実家は埼玉の、大宮です」

「なんだ。大宮なんてすぐそこじゃないの。じゃあチャッチャと済ませちゃおうよ。もちろん、スケジュールはご両親の方に合わせるからさ」


運ばれてきたコーヒーに口をつけようとしていた進藤は一瞬動作が止まった。


大宮……?


「でも……。僕の身内、芸能界というものにとても偏見を持っているんです。僕が歌手になりたいなんて言ったら、きっと頭から反対されると思います」


進藤が一瞬自分の世界に入り込んだ間にも、会話は進んでいく。


「何だ、そんなこと?そういうのはこっちにまかせてよ。今までも数々の修羅場をくぐり抜けてきたんだからさ」


津田は笑いを含んだ声音で言葉を発しながら腕を組んだ。


「君、プロになりたいんだよね?」


「はい…。でも、何だか突然のことで、正直心の準備が…」
< 45 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop