死が二人を分かつまで
「普通スカウトっていうのは突然だから。っていうか、そういう親御さんだからこそ、きちんと話し合っておいた方がいいんじゃない?」


さとしは俯いたまま黙り込んでしまう。


「内緒で芸能活動を始めたりしたら、余計ややこしい事になるかもよ?まず、きちんと筋を通して、それでも了解が得られなければあとはさとし君判断ということで。君はもう成人しているんだからね。ただ、無駄にご家族ともめたくはないから、デビューさせる前は、ウチは慎重に行動することにしている」


さとしの様子を見ながら、進藤はどうにも解せなかった。


プロになるのが夢で路上で歌っていた訳ではないのだろうか?


津田の申し出は、ストリートミュージシャンにとって願ってもないチャンスのはずだ。


それなのに、なぜこんなにも消極的なのだろう。


「小谷君……?」


進藤が声をかけると、さとしは意を決したように顔を上げ、言葉を発した。


「実は、本当の両親じゃないんです」

「え?」


津田と進藤は思わずユニゾンで答えた。


突然のことで、言葉の意味がとっさに理解できない。
< 46 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop