死が二人を分かつまで
しかし、甘い記憶と共に、進藤の胸には深い悲しみも飛来していた。


小夜子はすでに他界していた……。


もう一生、彼女に会うことはできない。


進藤は目を閉じ、椅子の背もたれに体を預けた。


「え?え?どういうこと?あんた、さとし君の母親のこと知ってんの!?」


心の中で静かに小夜子の冥福を祈ろうとしていたのに、津田にそれを中断されてしまった。


『うるさい奴だな』


「ええ。大学生の時……もう20年以上前になりますか、ピアノバーで皿洗いのバイトをしていたんですが、小夜子さんはそこで歌っていました」


「え!?」


さとしが驚愕する。


しかし、間髪入れず津田が声をあげた。


「マジで!?じゃあ、もしかしてさとし君のお父さんとも知り合いだったりする?」

「いえ。それに関しては私は存じ上げません。小夜子さんは行き先を告げずに突然引越しされて、そのあとは音信不通になってしまったので」


「ふ~ん…」


進藤はさとしをじっと見つめた。


「好きな人について行くって言ってたよ。その人がきっと君のお父さんなんだろうね」
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