死が二人を分かつまで
「うん。お兄ちゃんもね、すごいまじめ君なのよ。4つ上なんだけど、何をやってもかなわなくて。私いつも怒られてばっかりだったな」

「そうなの?」

「まぁ、進藤君のまじめさとはまた系統が違うけど」


「俺は女の人を怒ったりできないな…」

「うん。進藤君はそういうタイプじゃないもんね。お兄ちゃんというより、甘えっ子の弟って感じ。よしよし」


小夜子はそう言いながら進藤の頭をやさしく撫でた。


しかし、彼は思わずその手を右手で払ってしまう。


「進藤君?」


「あ、いや」


何だか気まずくなって、進藤は慌ててホールに視線を向けた。


「あ、お客さん帰ったみたい。テーブル片付けてこなくちゃ」


その場から逃れるように、進藤はホールへと移動した。


*****


ある日、プリズムではちょっとした事件が起きた。


常連客が自分の友人を連れて来たのだが、その男性が小夜子をいたく気に入り、しつこくちょっかいを出してきたのだ。


歌の途中に口笛や野次を飛ばしたり、握手を求めてステージに上がるそぶりを見せたり。
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