藁半紙の原稿
「よし決めた!
親父ぃ!!人参五組買い取ろう!
幾分かまけてくれ!!」


弾けたように声を張り上げた清太郎さんは中々に太った人参が三本入ったザルを持ち上げまたしても注目を集め始め、私はもうびっくりしてしまう。





「…なんだ、僅か見ない間にいつもの太郎になったな」




振り返ると八百屋の店主と元気に交渉する清太郎さんを若干呆れたように眺める霎介さんが立っていた。

不思議そうに首を傾げ、私を見つめる。

なんだかその様子がかわいらしい。



「彼に何か言ったのかい?」












私は先程の呉服屋での事を思い出し、得意そうに胸を張ってみせた。



「事実を言っただけですけど?」









霎介さんはその切れ長の眼を少し見開くと、「成る程」と呟き微笑んだ。
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