ヒーロー・ズ・ストーリー
なぜ今まで走れずにいれたのだろう。
逃げたい。
早くこんなところから出て光を見たい。
俺は全速力で走った。
だがいくら足を動かしても何もない。
何も起こらない。
そして襲いかかる「ここには自分だけ」という孤独感。
寂しい。
人の声が聞きたい。
人肌に触れたい。
触りたい。
そばにいるだけでもいい。
ただそこにいてくれれば。
姿を見たい。
そう願っても神は何もしてくれない。
「……もう…走れない…」
そう呟いて俺はそこに倒れこんだ。