ヒーロー・ズ・ストーリー




なぜ今まで走れずにいれたのだろう。



逃げたい。

早くこんなところから出て光を見たい。


俺は全速力で走った。



だがいくら足を動かしても何もない。

何も起こらない。



そして襲いかかる「ここには自分だけ」という孤独感。



寂しい。


人の声が聞きたい。


人肌に触れたい。


触りたい。



そばにいるだけでもいい。

ただそこにいてくれれば。


姿を見たい。




そう願っても神は何もしてくれない。



「……もう…走れない…」


そう呟いて俺はそこに倒れこんだ。







< 39 / 51 >

この作品をシェア

pagetop