天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ
それでも、逸男に悪気はないのだ。

そう考える事にして、小夜は何とか毎日彼に振り回されている。

今日も隣でベラベラと、いい朝だの学校まで走っていくかだの、好き勝手に喋っている逸男の言葉を聞いている。

半ば上の空だが。

…言っておくが、逸男に対して悪い印象は持っていない。

元気がいいし、健全だし、気が利く性格だし、きっといい奴だと思うのだ。

親しくなったら、面倒見のいい兄貴みたいな存在になるに違いない。

ただ、どうにもこうにも暴走しすぎる。

周囲が見えていないのか見ていないのか、はじめから見る気がないのか。

とにかく我が道を行く性格なのだろう。

自分が世界標準だと思っているから、付き合う方はたまったものではない。

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