俺のこと、好きなくせに
俺の必死の解説に、瞳は呆れたような、でもどこか嬉しそうな笑いを漏らしつつ言葉を紡いだ。


「分かった分かった。もう1人では来ないから」


そして俺の右腕に両腕を絡ませ、ギュッと抱き付いてきた。


「2人の、お気に入りの場所にしようね?」



……ごめんな、瞳。



俺、1人で来ちまった。


だけど、俺は男だから安全だし。


しかも、事情が事情なんだから、許してくれるよな。


自転車を入口付近に止めて、ふと顔を上げると、西の空に、ほんの少し太陽の残骸が見えた。



だけどその頼りない光さえも拒むように、俺は屋根で覆われたあずまやに近付くと、木でできたベンチに腰掛ける。



この闇が、必要だった。



無事ここに辿り着くことができて、俺はふー、と深く息を吐く。



11月に産まれた瞳。



だけど、18歳の誕生日を、きっと迎えることはできない。



そしてその後のクリスマスも。



そんなのアリかよ。



俺に、こんな恋を仕掛けたくせに。



2人の時間はまだ始まったばかりだっていうのに。



とうとうこらえきれなくなって、俺は鳴咽を漏らした。
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