夏休みのTシャツ
「実は試合も見てたんだ。惜しかったね。」

あたしは首を振る。

「全然、全然惜しくなんかないんです。恭ちゃんはすごくよかったのに、あたしが、あたしがあんなミスしたから……」


さっき止まったハズなのに、首を振る度に涙が落ちる。

人前じゃ絶対に泣かないのに。



先輩の前だと安心する。



「それでも惜しかったよ。ベスト8じゃん。だからもう泣かないでよ。」


泣かないで、と言われてもますます止まらない。



「本当に、泣きたい、のは、恭、ちゃん、なのに。あたし、なんか、泣いてちゃ、いけ、ない、のに。」



途切れ途切れのあたしの話を、先輩は最後まで聞いてくれてた。




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