夏休みのTシャツ
顔をあげると先輩はニコッて笑った。


あたしもつられて少しだけ笑顔になる。


先輩はしばらくあたしの頭をなでてくれてた。


「あっ!!」


「何?」



「先輩、試合あるんじゃないですか?」


「あぁ~、そうだ。そろそろ行かなくちゃ。もう大丈夫?」


「あっ、はい。ありがとうございました。」

「ならよかった。じゃあ行くね。」


そういいながら立ち上がった先輩に、一歩遅れてあたしも立った。

「あの、このこと誰にも言わないで下さい。」

泣いたことを知られたくなかったから、あたしは歩き出した先輩に向かって言った。

「わかってるよ。誰にも言わないから安心して。」

先輩はわざわざ立ち止まって振り向いてくれた。


「ありがとうございます。試合頑張ってください。」




< 39 / 47 >

この作品をシェア

pagetop