服従の宴―契約―

 投げ捨てられた煙草を磨かれた革靴が踏み潰す。


 顕斗は呆れ果てた。


 今まで自分本意な大人は嫌という程みてきていた。


 自分の体裁守るために必死で、普通でいよう、社会の枠にはまろうとする大人をよく知っている。


 彼らは他人に深く関わることを嫌う。

 無駄な責任を請け負うことを嫌う。


 だけど、この徳田という教師は倫理観から遠く逸れた行為をしておいて、それを揉み潰そうとしている。


「昼休みはあと三十分もある」


 ブランドの腕時計を確認すると、徳田は顕斗を真っ向から見つめた。


 ホストみたいな教師。

 女にモテそうな甘いルックス。威力的な二重の切れ長の瞳。

 徳田は右手で顕斗の胸ぐら掴むと、不敵にニヤリと笑った。


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