服従の宴―契約―


 俺の周りには、こんな大人しかいない。


 誰かに告げ口する気なんてない。口にするだけでも、相当な気苦労をしそうだ。


 ただ、同情はしている。


 高そうな時計に靴、贅沢品の煙草。勤務中に生徒に手を出して、自分の教師生命を心配するこの男に、心底同情していた。

 そして、そんな男に絡まれている自分自身にも同情していた。


 徳田は首を傾げて、顕斗の顎を右手で掴む。


「なんだ、その冷めた目……」



 顕斗の背中がコンクリートの壁にあたる。



「それに、口の効き方がなってねーな。大人には敬語使えよ」


「大人だからって何が偉い?」

< 6 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop