恋色カフェ


「雰囲気は、前とそれ程変わってないだろ」

「そうですね。お店見ながら、いろいろ思い出してました」


店長と会話をしながら事務所に入ると、そこにはやはり理英さんの姿は無く、机が寂しげにポツンと空いている。



「理英の席だった場所が、高宮さんの席になるから。これから改めてよろしく、高宮さん」


そう言って、店長は涼しげに微笑んだ。




……人の気も、知らないで。


思わず、心の中で独りごちる。


ダメだ──と。警告は常に、心の一番目立つところに掲げている。

なのに、それに逆らうように鼓動は早速音を立て始めてしまった。



「──で、そこの棚に書類があるんだけどさ」


< 11 / 575 >

この作品をシェア

pagetop