恋色カフェ
店長が指を差した場所に歩いて行くと、そこには確かに書類が入った棚があった。
「…………わかる?」
危なく、声を上げるところだった。
びくん、と。大きく肩が跳ね上がった理由は、1つ。
「……どうしたの」
「だ、って……」
私の髪にかかる、店長の吐息。
今それ程までに、近い位置に立っているのだ、この人は。
「だって……何?」
懐かしい、森谷店長の香りがふんわりと鼻をくすぐっていく。
甘く、仄かにスパイシーな、アンバームスクの香り
“シークレット”
昔、こっそり調べて、店長と同じ香水を買ったことを思い出した。