恋色カフェ
理英さんのことは考えすぎだったか、と、私はお皿の上のニョッキをつつく。
いやに静かなのが気になり、顔を上げる、と。
「何、ですか?!」
また、店長のニヤリ顔がそこに。
「いや、俺が納得出来る呼び方じゃなかったなー、と思って」
「……、」
「さっき俺が言ったこと、覚えてるよね?」
大きな音を立てた、心臓。騒ぎ出す胸に静まれと念じてみたって、そう都合良くはいかない。
無駄な抵抗だと思いつつ、他に気が逸れれば、とニョッキを口に入れた。
「……あとで」
そう言って。
店長は私の口許に付いていたらしいソースを指ですくい、自分の口へと持っていった。
一瞬覗いた、店長の舌の赤さ、が────。
美味しい料理だった、のに。
私はそれから、何を食べても何の味もしなくなってしまった。