恋色カフェ
「煕、でいいんじゃない?」
しびれを切らしたのか、それとも理英さんと同じ呼び方で呼んでほしくなかったからなのか。
私からパスタへと視線を移した店長は、フォークを手にしながら、さらりとそう言った。
「そんな、急に呼び捨てなんて……出来ませんよ」
──煕、なんて。
心の中で呟いただけで、くすぐったいような、申し訳ないような、妙な気分になる。
「…………仕方ないな。
じゃ、当分は“さん付け”で許してやろうかな」
「え……いいん、ですか?」
いいんですかって、と言って、店長は笑っている。
「だって、呼び捨ては無理なんでしょ?」
「はい……」
「俺だって、無理強いはしたくないし」