恋色カフェ
「そう。じゃ、無用な心配だったね」
そう言って、ホッとした表情で微笑むと、万由さんは事務所を出ていった。
パタン、と扉が閉まる音と重なった、私のため息。初日から、しかもたった数時間で、随分と濃い出来事にばかり遭遇したものだ。
しかし──。
彼女は、今どんな気持ちでいるのだろう。
奥さんがいる、というだけでなく、女癖も悪い人を好きになってしまって。
…………じゃ、私は?
「──へぇ。
高宮さん、彼氏いたんだ」
「キャッ!」
店長は突然隣の部屋から姿を現し、私の隣のデスクに寄り掛かっている。