恋色カフェ


「だって……ねぇ」

「だよなぁ」

「本当は、座る人は別にいたんだけど」


みんなが口々に呟いた言葉は、店長にも聞こえているのだろうか。

店長の方を盗み見たつもりが、不用意に万由さんの嬉しそうな顔が目に入って、私は慌てて視線を逸らした。



「先週一週間、みんな本当にお疲れ様でした。じゃ、乾杯!」


店長の音頭で、みんなそれぞれに飲み始める。隣の勝沼君は乾杯と同時に、男性スタッフに連れていかれてしまった。



(結局、一人か……)


店長は近くのスタッフと談笑しているようだ。

この私の状況に、気づいてほしいような、気づかないでほしいような。複雑すぎて、今の心境は自分でも説明できない。


< 257 / 575 >

この作品をシェア

pagetop