恋色カフェ
困ったような口振りなのに、どこか嬉しそうに見える勝沼から、森谷は自然を装いつつ目線を外す。
いよいよ苛立ちが抑えられなくなって、灰皿へフィルター近くまで吸った煙草を粗雑に押し付け、森谷は2本目に火を点けた。
「……勝沼。お前は出処を知ってるんだろ?」
「え、」
「……誰だ、言え」
森谷の声のトーンがあからさまに変わり、これまで余裕を見せていた勝沼にも動揺が窺える。
視線をテーブルに泳がせ、束の間、言い渋ってから、勝沼は口を開いた。
「……万由さんっす」
「土屋さん……?」
『高宮さんは送っていけて、私のことは送れない理由があるんですか』
──なるほど、そういうことか。