恋色カフェ
────……
タイヤの摩擦音に負けず、規則的な、穏やかな寝息が聞こえる。それ程までに彼女の顔が近い距離にあるのだと、意識すればする程落ち着かなくなる。
勝沼はそっと、自分の肩に凭れている彗を見下ろした。酔って赤くなった頬もだいぶ薄らぎ、今はいつもの抜けそうな白い肌に戻りつつある。
ふわりと鼻を掠めた彼女の香りに、思わず胸が鳴った。
────内心、ビビッていた。
あんな強気で言い放って、この後なんでもない訳はない。あの時の、森谷の鋭い視線を思い出すと、さすがに身震いしてくる。
それでも。
勝沼は自分に体重を預けている彼女の前髪をそっとはらった。
ふいにおとずれた刺激に、少し歪めた顔すら愛おしい。