恋色カフェ
今は、店長の存在を、気配を、感じさせないで、お願い。
……って、私は一体誰にお願いしているんだろう。
心で呟いたことは、せいぜい神様くらいしか聞こえないのに。
「──3年前のこと」
突然、静寂を破るように言葉が落とされ、私は思わず顔を上げてしまった。
「思い出してた」
店長は煙草を口にしながら、私に気を遣ったのか窓を半分程開け、紫煙を外へと逃がす。
「前もこうやって時々、机にドリンク剤が置いてあったなって」
壁に凭れながら、店長はこちらを見て薄く笑みを浮かべている。その笑みの意味をどう捉えたらいいのかわからず、私は自然を装い、店長から視線を外した。