恋色カフェ
おこがましい、か、と笑いを含みながらそう言って、店長は短くなった煙草を揉み消した。
「私もこの3年で、いろいろ勉強したんです」
「なるほど。お互い大人になったっていうことか」
確かに私のそれは、大人になったということなのかもしれない。言い換えれば、何の恐れもなく向かって行ける程、子供ではなくなった、ということだけど。
「そろそろ、戻るか」
店長は机の上のドリンク剤を手にすると、扉の方へ向かって歩き出した。
「……まさか、覚えてくれていたとはね」
彼が静かに放った声が、静まり返っていた室内に小さく響く。
「ありがとう」
店長はこちらを振り返り、その言葉を間違いなく私に向けた。
────やっぱり、わかっていたんだ。