恋色カフェ
私のおかしな様子など気に留めることもなく、店長はソファーにどさりと腰かけると、大きなため息と共にネクタイを緩め始めた。
その指先に、つい目を奪われ。
また心臓はドクンと、大きく音を鳴らす。
「あの、じゃ、お先に失礼しま、す」
見ていたことを悟られる前に、事務所を出ようとする、と。
「……あぁ、待って。やっぱ送ってく。
夜道は危ないからな」
思いがけない台詞を言われ、咄嗟に断る言葉が浮かんでこない。
「行くぞ」
店長はテーブルに置いた鍵を掴むと、あっという間に事務所を出ていってしまった。