恋色カフェ



「……と、そうは言ったけど」



今朝と同じだ。手が、優しい。


「“店長”じゃなく“俺”には、どんな感情も言葉も隠さずぶつけていいよ」


突然、何を言いだすのだろう。

驚き過ぎて、声が出なかった。店長は優しく私の髪を撫でる。その行為に尚更、戸惑いを覚えたものの、そのうち心地良さの方が勝ってしまった。



「むしろ、ぶつけてくれた方が嬉しいし」


私はようやく顏を上げて、目の前の彼を見た。それでも店長は、私の頭から手を離す気はないらしい。

彼の指が触れていると思うだけで、髪の毛の先まで緊張が溢れていく気がする。


「俺はもう、前とは違う。今なら彗のことをちゃんとわかってやれるから」


久しぶりに彼の口から発せられた自分の名前が、耳に、甘く響く。

呆然としている私の髪を、店長は愛おしそうに撫でるから、本当に困ってしまった。


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