恋色カフェ
急にそんな顏しないでよ。
今更どうしたっていうの。ここのところ万由さんばかりで、私には目もくれなかったくせに。万由さんがいなくなったから、また私って訳?
…………違う。
今日、店長が話してくれたことは、そんな上っ面なことじゃなかった。彼はアンバーのことを一番に考え、常に最善を尽くしていた。
『適当にセックスして飽きたら、簡単に捨てられるよ』
不意に万由さんの言葉が頭に浮かんで、私は堪らず目を瞑った。
「……どうした?」
真実は、どこにある……?
「……煕さん」
意を決して、私は“店長”ではなく、彼の名前を呼んだ。
「あの……」
真意を問いただそうとすれば──無情にも、内線の着信音がそれを阻止した。
「……わかった、すぐ行く」
店長はこちらを見て、笑みを浮かべる。
「売上の集計出たって、今日の。下行こうか」
楽しみだな、なんて。そんな無邪気な顏を見せられたら、仕方がない。
私は店長の後ろ姿を見つめながら、小さく笑みを漏らした。