恋色カフェ
「断ってもらおうと連絡する前に、煕さんったらあっさり承諾しちゃって」
「それは、店長が理英さんのことを好きだったからじゃ……」
「やーだ、彗ちゃん。そんな甘いシンデレラストーリーじゃないんだってば」
理英さんはまた可笑しそうにケラケラと笑う。離婚して間もないというのに、理英さんはどこまでも明るい。
……そう言えば、彼女はいつもこうだった。もちろん、3年前も。
「煕さんは、本当はモリヤコーポレーションの中枢で働きたかったみたいでね。でも『お前コーヒーが好きだろう』って強制的に父親にアンバーに行かせられて。
それで腐っちゃったのね。彼も若かったし。で、何もかもどうでもよくなって、結婚の話も適当に返事したって訳」
「だからあの時、店長はアンバーの仕事を適当にしてみたり、サボったりしてたんですか」
「本当、あの頃はスタッフみんなに苦労かけさせちゃったわよね。彗ちゃんにも嫌な思いをさせちゃって。ごめんなさいね」
「いえ、そんな……。私こそ、何もわかってなかったくせに店長に意見するとか、何様、って感じでしたし……。今思い返しても恥ずかしいです」