恋色カフェ
「店長は……私が本当に自分に気があるのか、確かめようとしただけだった。その罠にまんまと……引っかかったのよ、私は。間抜けよね……それに気づかずに、尻尾を振ってたなんて」
自虐的に吐かれた言葉は、しゃくり上げているせいで、途切れ途切れに聞こえてくる。
「いい気味だと、思ってるんでしょう」
私は、何も言わず黙って俯いていた。
敢えて言わなかった訳じゃない。何も、言葉が出てこなかった。
「さぞや、優越感に浸っているんでしょうね」
自嘲気味に笑いを零し、万由さんはハンカチで目頭を押さえた。もう、目の辺りの化粧は剥げ、尚更目の下のクマがはっきりと見える。
「アンタもこれで安心でしょう。邪魔者は居なくなるんだから」
私は、弾かれたように顔を上げた。
「……アンバー、辞める気?」
「今日はそのつもりで来たのよ」
万由さんはそう言うと、鞄から白い封筒を取り出し、裏返しに私の前に置く。
封筒を裏返さなくとも、それが何か、すぐにわかった。